ターゲットと呼ばれるAntのビルドファイルは、Makefileに似ています。ターゲットは複数のタスクから構成され、タスクが実際に処理を行います。例えば、何かしらの手続きを行ったり、ファイルを移動したり、Javaソースコードをコンパイルしたり、SSH経由でファイルをサーバへ送るなどの処理を行います。Antには山ほどのタスクがあらかじめ用意されていますが、Antの開発チームでなくても簡単に独自のタスクを作ることができます。
WOProjectは、まさにAntタスクのプロジェクトです。WOProjectでは半ダース以上のAntタスクを用意してあり、Xcodeを使わなくてもAntのみでWebObjectsアプリケーションやフレームワークをビルドできるようになります。WOProjectのJARファイルをAntライブラリのディレクトリにコピーすれば、WebObjectsのプロジェクトから(build.xmlファイルから) Antタスクを使えるようになります。
WebObjectsプロジェクトにAntを使うのは、次の理由があります。
- Antは柔軟で高度な設定ができます。また、オープンソースコミュニティによって開発が日々進められており、Javaコミュニティではデファクトスタンダードのツールとなっています。
- プロジェクトのビルドに伴う、多くのファイルの依存性を解決できます。
- 開発チームのためのデイリービルドを自動化できます。smoke testing (実際に動かしてみるテスト)用のナイトリービルドなどの作成を自動化します。
この章では各タスクについて説明します。APIリファレンスも参考にしてください。
WOProjectはWOLipsプラグインに含まれているので、WOLipsをインストールすると一緒にインストールされます。
WOProjectは次のJARファイルで構成されています。
- [WOProject_installdir]/lib/woproject.jar (必須)
- [WOProject_installdir]/lib/cayenne.jar (WOGenでのみ使用)
Antタスクの種類
WOProjectには次のAntタスクが用意されています。
コードに関するタスク
- WOCompile
- Javacタスクを拡張したタスクです。WebObjectsのフレームワークをCLASSPATHに含むようにしています。
- WOApplication
- WebObjectsアプリケーションをコンパイルするタスクです。
- WOFramework
- WebObjectsフレームワークをコンパイルするタスクです。
- WOGen
- EOModelからカスタムEOクラスを生成するタスクです。このタスクはEOGeneratorをPure Javaで実装したものです。
- EOModel
- EOModelの接続辞書を設定するタスクです。
WebObjects開発ツールを統合するタスク
- PBIndex
- Windows版の旧Project Builderプロジェクト(PB.projectファイル)とWebObjects Builderのファイルを管理するタスクです。
- PBXIndex
- Mac OS X版の旧Project Builderプロジェクト(PBX.pbprojファイル)、WebObjects Builder、EOModelerのファイルを管理するタスクです。
- XcodeIndex
- XcodeプロジェクトとWebObjects Builderのファイルを管理するタスクです。